コンセプト

日本は世界でかつてないほど注目を集め一大ブームの波が来ています。
和食がユネスコの無形文化財に指定されパリのフレンチの世界でも昆布や鰹などの出汁がちょっとした流行だそうです。
ここ昨今のインバウンドのお陰で世界に日本の文化や伝統が紹介されることも多く、お蕎麦も日本古来の食文化として注目されることも必至だと思います。

器も蕎麦を引き立てるうえで重要な役割を担うものだと考えており焼き物も日本の文化を語るうえで欠かせないものです。
焼き物はそれぞれの産地で人々の苦労や努力によってその伝統が守られてきました。
何百年も受け継がれたデザインは決して飽きることもなく完成されていて今でも古さを感じさせません。

しかしその伝統は後継者不足や環境などの問題で所によっては途絶えてしまいそうです。
国内随一の窯業地瀬戸もかつては瀬戸物と呼ばれるほどの隆盛を極め高度成長期を支えてきましたが、今は見る影もないほどになってしまいました。
同じく高度成長期日本人の胃袋を支えてきた町場のお蕎麦屋さんも年々数を減らし安価なたち蕎麦チェーンにとって代わられました。

一方で桃山時代の焼き物に思いを馳せその素晴らしさを再現すべく心血を注ぐ作家や、
お客様に本当に美味しいお蕎麦をお出ししようと懸命に全国を駆け回り収穫まで手伝うお蕎麦屋さんを見てきました。

私は情熱をもって仕事をされているこの方々の懸け橋になれないかと思いこの仕事を選びました。

お客様に喜んでもらうという共通の目標には相通じるものがあると考えたからです。
両者の繁栄があってこそ伝統は守られ後継者も増えると思います。
皆様にその素晴らしい伝統を少しでも伝えることが私の使命だと感じております。

2019年11月吉日
山﨑 英治